アロマオイルや精油を使っている方なら、一度は「オーガニック認証」という言葉を見聞きしたことがあると思います。
「オーガニック=安全」と思われがちですが、実は精油に関しては、少し注意が必要なことをご存知でしょうか?
今日は、精油を安心して使うために知っておきたい「濃縮」と「農薬」のお話を、やさしくお伝えします🌿
■精油って、ものすごく濃縮されているんです
精油は、植物の葉や花、果皮などから香りの成分をギュッと取り出した“濃縮エキス”のようなもの。
この濃縮度、実は想像以上にすごいんです。
たとえば、ラベンダー精油1滴を取るために必要な生の植物は、およそ100〜150倍。
ローズ精油に至っては、3000〜5000倍もの花びらが使われることもあるそうです。
レモン精油は200〜300倍、ジャスミンでも250倍ほど。
これだけ高濃度だからこそ、香りの力をしっかり感じられるのですが、同時に「ちょっと気をつけておきたい点」もあります。
■実は…農薬も一緒にギュッと濃縮されることが
植物が育つ段階で、もし農薬が少しでも使われていたとしたら?
その農薬まで、一緒に精油に濃縮されてしまうことがあるのです。
どうしてそんなことが起きるのかというと、精油に含まれる成分と農薬、どちらも“有機化合物”と呼ばれる仲間だから。
つまり、構造が似ているので、香りの成分を取り出すときに、農薬も一緒に入ってきてしまうことがあるんです。
仮に、原料となる植物にほんのわずか(たとえば0.1ppm=1000万分の1)だけ農薬が残っていたとしても、精油が100倍に濃縮されると、最終的には10ppmという量になります。
微量だったはずのものが、濃縮されてしまい意外と多くなってしまうのです。
ちなみに「10ppm」という数値は、食品に残っていてもいいとされる農薬の基準(たとえば1ppm前後)と比べると、かなり高い値です。
精油は食品ではないため基準がないことも多いですが、だからこそ信頼できる検査済みの製品を選ぶことが重要になります。
■オーガニック認証では、カバーしきれないことも
「じゃー、それならオーガニックの精油を使えば安心じゃないの?」と思いますよね。
もちろん、農薬や化学肥料を使わない栽培がされているという点で、オーガニックはとても価値のある選択です。
ただし、ここでひとつ注意が必要なのが「オーガニック認証の基準」です。
この認証は、あくまで“栽培段階で農薬などを使っていない”ことが条件。
実際に最終的な精油に農薬が残っていないかどうかまでは保証していないケースもあるのです。
以前その土地で農薬が使われていた場合や、近隣から風で農薬が飛んでくる「ドリフト」という現象もあって、完全にゼロにするのはとても難しいんですね。
■安全性を確認するには「検査表」がカギ
じゃあどうすればいいの?というと…
信頼できるメーカーが行っている「残留農薬検査」の結果を確認するのがおすすめです。
最近では、ロットごとに細かい分析をして、農薬が入っていないことを数値で示してくれるメーカーも増えてきました。
「農薬29種類がゼロ」や「残留農薬は0.05ppm以下」など、ちゃんと数値で示されていると安心感が違います。
特に、体調に影響の出やすい方や、体に塗布して精油を使いたい方は、こうした「検査表つきの精油」を選ぶようにしましょう。
■そして大切なのは“希釈して使うこと”
精油はとても濃いので、基本的にはそのまま肌につけたりしません。
アロマテラピーでは、植物オイルや水などで薄めて使うのが基本です。
たとえば、100倍に濃縮された精油を1%に希釈すれば、元の植物の状態にかなり近い濃度になります。
香りもやさしくなって、刺激も減るので、肌への負担も軽くなります。
精油を安全に楽しむためには、オーガニックかどうかだけでなく、
「どれだけ薄めて使うか」も、大切なポイントなんですね。
■まとめ:安全と心地よさ、どちらも大切に
精油は、自然の香りの恵みを感じられるすてきなツール。
でも、その背景には「濃縮によるリスク」もあることを知っておくことで、より安心して使えるようになります。
この3つを意識するだけでも、安全性はぐっと高まります。
香りは心と体に寄り添ってくれるもの。
だからこそ、ちゃんと選んで、やさしく扱っていきたいですね🌿